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「医療費控除をするなら、ワンストップ特例は使えません」

ふるさと納税のことを調べると、どのサイトにもこう書いてあります。まちがってはいません。ただ、ここで止まってしまう人が多いはずです。

その年の医療費が10万円を超えるかどうかは、年内には分からないからです。

我が家がまさにそうでした。11月の時点で「超えそうだけど、超えないかもしれない」という金額。ワンストップを出すべきか、出さずに確定申告に回すべきか、決められませんでした。

結論から言うと、迷ったら年内にワンストップを出しておくのが安全です。 出したうえで確定申告をしても、困ったことは何も起きません。我が家はこの形を2年続けています。

この記事では、なぜ年内に判断できないのか、なぜ先に出しておくほうが安全なのか、そして控除がちゃんと効いたかを6月に届く通知書で確かめる方法までを書きます。

📋 この記事でわかること

  • 医療費が10万円を超えるか、年内に計算できない理由
  • ワンストップを出したあとに確定申告をするとどうなるか
  • 6月の住民税決定通知書で、控除を確かめる方法
  • 「寄付額−2,000円」が通知書に載っていなくても正常な理由

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結論:迷ったら年内にワンストップを出しておく

ふるさと納税のワンストップと医療費控除で迷ったときの判断順序3点

⏱ 1分でわかる要点まとめ

  1. 医療費が10万円を超えるかは年内に分からない。保険金で戻る分を引くため、総額がそろうのは2月9日ごろ
  2. ワンストップ特例の締切は翌年1月10日必着。医療費が分かる前に締切が来る
  3. 確定申告をするなら寄付分も申告書に入れ直す。医療費控除だけ申告すると寄付の控除が丸ごと消える

✔ 迷ったら出しておく。出して困る場面はない

医療費控除を使うかどうか決められないなら、ワンストップ特例の申請書は出しておいてください。

理由は単純です。出しておいて損をする場面がないからです。

年明けに分かったこと やること 結果
医療費が10万円を超えていなかった 何もしない 出しておいたワンストップがそのまま効く
医療費が10万円を超えていた 確定申告で医療費控除とふるさと納税をまとめて申告 ワンストップは無効になるが、確定申告のほうで控除される

どちらに転んでも控除は受けられます。逆に、出さずにいて医療費が10万円に届かなかった場合が、いちばん困ります。 控除を受ける手段が確定申告しか残らず、そのためだけに申告書を作ることになります。

「両方やるのは二度手間では」と思うかもしれません。ところが申請の手間は、以前よりずっと軽くなっています。マイナンバーカードがあれば、スマホのアプリで複数の自治体をまとめて申請でき、申請書を郵送する必要すらありません(くわしくは後述します)。年明けの自分に選択肢を残すための数分だと考えてください。

読者読者

ワンストップを出したのに確定申告したら、怒られたりしないんですか?

fufufufu

何も起きません。確定申告のほうが優先されて、ワンストップが自動的に無効になるだけです。我が家は2年続けてこの形です

【公式】ふるさとチョイスで返礼品を見る

申し込み画面で「ワンストップ特例申請書を要望する」にチェックを入れておけば、年明けの選択肢が残ります

医療費が10万円を超えるか、年内には分からない

そもそも、なぜ年内に判断できないのか。ここを理解しておくと、先に出しておく意味がはっきりします。

医療費控除の対象になる金額は、国税庁が次のように定めています。

(実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額)-(2)の金額 (1)保険金などで補てんされる金額 (2)10万円 (注)その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5パーセントの金額

出典:国税庁 タックスアンサー No.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」

ここに落とし穴が2つあります。

保険金で戻ってきた分は差し引く

払った医療費をそのまま足せばいい、というわけではありません。 保険金などで戻ってきた分を引く必要があります。

国税庁が例として挙げているのは、生命保険の入院給付金、健康保険の高額療養費、家族療養費、出産育児一時金です。

「戻ってきた分を引く」とは、どういうことか

言葉だけだと分かりにくいので、数字で見てみます。

金額
病院の窓口で払った額 30万円
生命保険から入院給付金で戻ってきた額 ▲10万円
医療費控除で数える額 20万円

自分の財布から最終的に出ていった額だけを数える、という考え方です。保険で戻ってきた分は、実際には負担していないので数えません。

「黙っていれば分からないのでは」と思ったとき

ここで気になるのが、「保険から戻ってきたことを、自分から書かないといけないのか」という点です。

答えは「自分で書きます」。 申告書の医療費控除の明細書に、「保険金などで補填される金額」という欄があり、そこへ自分で記入します。

黙っていれば分からないのでは、と考えたくなりますが、やめておいたほうがよいです。理由は2つあります。

  1. 保険会社は、支払った保険金を税務署へ報告する場合があります。 あとから連絡が来ることがあります
  2. 間違いが見つかると、不足分の税金に加えて加算税や延滞税がかかります。 戻る額より多く払うことになりかねません

書き方はむずかしくありません。保険会社から届く「支払通知書」や「給付金のお知らせ」に金額が書いてあるので、その数字をそのまま写すだけです。通知が見当たらないときは、保険会社のマイページや問い合わせ窓口で確認できます。

引くのは「その治療に対して出た分」だけ

もうひとつ、覚えておくと得をするルールがあります。

戻ってきた保険金は、その給付の対象になった治療費からしか引きません。

たとえば入院で30万円かかり、その入院に対して保険金が40万円出たとします。引ききれない10万円が残りますが、この10万円を、別の歯医者や薬局の費用から引く必要はありません。

国税庁も「引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません」と明記しています。治療ごとに区切って考えると覚えてください。

高額療養費は、いまは窓口で済んでいることが多い

以前は、高額療養費は「いったん全額払って、あとから申請して戻してもらう」仕組みでした。いまは事情が変わっています。

厚生労働省は、マイナンバーカードを健康保険証として使えば、「限度額適用認定証」がなくても限度額を超える分を支払わなくてよいと案内しています。

つまりマイナ保険証を使っている人は、窓口で払う時点ですでに上限までしか払っていないので、あとから戻ってくる分も、それを引く計算も発生しません。

⚠️ 集計が年内に終わらない理由は残ります

高額療養費が窓口で済むようになっても、生命保険の入院給付金は別です。保険会社への請求が年内に間に合わなければ、いくら戻るかは翌年に決まります。

また、マイナ保険証を使っていない場合や、医療機関がオンライン資格確認に対応していない場合は、これまでどおり後から申請して戻してもらう形になります。その場合は振り込みまで数か月かかることがあります。

12月31日の時点では、引く金額が決まりきらないことがあるという点は変わりません。

総額が分かるのは医療費通知が届くころ

もうひとつが、単純に「集計が終わらない」という問題です。

家族5人分の領収書を1年分集めるのは、思っている以上に大変です。子どもの歯科矯正、配偶者の通院、自分の風邪。財布に入れたまま忘れた分もあります。

これを一気に解決してくれるのが、健康保険から届く「医療費のお知らせ」(医療費通知)です。国税庁も、この通知を添付すれば明細書の記載を簡略化できると案内しています。

我が家の場合、この通知が届いて前年の医療費が確定するのは2月に入ってからでした。そこでようやく「今年は超えていた」と分かります。

「マイナポータルを使えば早く分かるのでは」と思うかもしれません。それでも2月です。 国税庁は、マイナポータル連携で医療費通知情報を取得できる時期をこう案内しています。

例年、原則2月9日から、申告年分の1月から12月までの1年間分の医療費通知情報が取得できるようになります。それ以前については、医療費通知情報の取得ができません

出典:国税庁 確定申告書等作成コーナー「マイナポータル連携で医療費通知情報を取得できる時期」

1年分がそろう日は、原則2月9日。紙の通知を待っても、マイナポータルを使っても、前年の医療費が確定するのは2月だということです。

⚠️ 通知が届く時期は保険者によって違います

医療費通知の発行時期は、健康保険組合・協会けんぽ・共済組合などによって差があります。ご自身の保険者のホームページで確認してください。また通知に載るのは保険診療分だけなので、自費診療・市販薬・通院の交通費は別に集計が必要です。

ワンストップの締切のほうが先に来る

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

医療費が確定する時期より、ワンストップの締切のほうが先に来ます。

時期 何が起きるか
12月31日 その年の寄付の締切
翌年1月10日 ワンストップ特例申請書の締切(多くの自治体が必着)
翌年2月9日ごろ 医療費通知が届く。マイナポータルでも1年分が取得できるようになる
翌年2月16日〜3月15日 確定申告の期間

順番を見てください。医療費がそろう約1か月前に、ワンストップの締切が来ます。マイナポータルを使っても、この順番は変わりません。

「医療費が確定してから決めよう」と考えていると、決めた時にはもうワンストップを出せません。だから、決められないなら出しておくという順番になります。

この「翌年1月10日」は、自治体が独自に決めている日付ではありません。地方税法にもとづく全国共通の期限です。総務省が配布している申請書の様式にも、各自治体の案内にも、同じ日付が書かれています。

気をつけたいのは、多くの自治体が「必着」として案内している点です。消印有効ではないので、1月10日に投函しても間に合いません。

今年の寄付でも、返礼品とは別に届いた封筒に申請の手引きが入っていて、その最後に「寄附された翌年の1月10日(必着)までにご送付ください」と書かれていました。自治体もここを強調しています。

とくに12月に寄付をした場合、自治体から申請書が届くまでに日数がかかります。年末の申し込みでは、マイナンバーカードを使ったオンライン申請に対応している自治体を選ぶか、書類が届いたその日に返送するつもりでいてください。

申請書は、もう郵送しなくてよくなっている

ワンストップ特例の申請は、寄付した自治体ごとに1通ずつ必要です。5つの自治体に寄付したなら、申請書も封筒も5組になります。

「申請書を自治体の数だけ書いて、本人確認書類をコピーして貼って、それぞれ封筒に入れて出す」——これが面倒でワンストップを敬遠していた人もいるはずです。

その手間は、いま減っています。

今年の寄付で届いた手引きにも、申請方法が2種類あると書かれていました。

申請方法 必要なもの 申請書の郵送
スマホでまとめて申請 スマホとマイナンバーカード 不要
書類を郵送して申請 申請書+本人確認書類のコピー 必要

スマホの場合は、公的個人認証のアプリでマイナンバーカードを読み取り、寄付の情報を登録するだけです。複数の自治体をまとめて申請できるので、寄付先が3つでも5つでも、かかる時間はほとんど変わりません。

これは、この記事の結論とも直結します。「迷ったら出しておく」の手間が小さいほど、出しておく判断がしやすくなるからです。封筒を5通用意するのと、アプリで5件まとめて送るのとでは、心理的な重さがまるで違います。

⚠️ 自治体によって、使えるしくみが違います

オンライン申請のしくみは1つではありません。ふるさと納税総合窓口「ふるまど」と公的個人認証アプリ「IAM(アイアム)」を使う方式と、「自治体マイページ」を使う方式が主に使われていて、どちらに対応しているかは自治体ごとに異なります。どちらにも対応していない自治体もあります。

寄付をすると、自治体からメールか申請書が届きます。そこに案内されている方法に従ってください。先にアプリを入れても、その自治体が非対応なら使えません。

なお、いずれの方法でもマイナンバーカードが必要です。持っていない場合は、書類を郵送する方法になります。

確定申告をするとワンストップはどうなる?【無効になる】

「出したあとに確定申告をしたら、二重に控除されてしまうのでは」という心配をする人がいます。そうはなりません。

総務省が配布している案内文書には、こう書かれています。

~ワンストップ特例を申請しても適用されない場合~ ・医療費控除の申告などのため、確定申告をした又は住民税の申告をした ・6団体(自治体)以上にワンストップ特例を申請した

出典:総務省「ワンストップ特例を申請する皆様へ」

読み解くと、「医療費控除のために確定申告をした人は、ワンストップを出していても適用されない」ということです。住民税の申告をした場合も同じ扱いになります。

つまり、確定申告をした時点で、出しておいたワンストップの申請は自動的に無効になります。 自治体へ取り下げの連絡をする必要もありません。

ただし、ここに忘れると控除がゼロになる注意点があります。

🚨 寄付分を申告書に入れ直すのを忘れない

ワンストップが無効になるということは、寄付の控除もいったん消えるということです。確定申告をするなら、医療費控除だけでなくふるさと納税の寄付金控除も申告書に書かなければいけません。

「医療費控除だけ申告して、ふるさと納税はワンストップで出してあるから大丈夫」——これが、いちばん多い失敗です。この形にするとふるさと納税の控除が丸ごと受けられません。

確定申告をするなら、その年に寄付したすべての自治体分を申告書に入れてください。1つでも漏らすと、その分だけ控除されません。

とはいえ、証明書を1枚ずつ入力する必要はありません。 国税庁は、ふるさと納税の「寄附金受領証明書・寄附金控除に関する証明書」をマイナポータル連携で一括取得し、申告書に自動入力できると案内しています。医療費通知情報も同じしくみで取り込めます。

ただし条件があります。証明書を発行する側(ふるさと納税サイトなど)がマイナポータル連携に対応している必要があります。 国税庁が「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」を公開しているので、自分の使っているサイトが載っているか確認してください。

対応していれば、紙の証明書を並べて手入力する作業はなくなります。それでも受領証明書自体は、内容を確認できるよう保管しておくと安心です。

還付金は、申告書に口座を書かなくても受け取れます

確定申告をためらう理由のひとつに、「還付金の受け取りがややこしそう」があります。ここも、思っているより手間がありません。

マイナンバーに紐づけて公金受取口座を登録しておくと、その口座へ自動的に振り込まれます。申告書に口座番号を書く必要すらありません。

我が家は登録済みだったので、口座を書く欄で手が止まることもありませんでした。2026年2月に申告したときは、同じ月のうちに振り込まれています。 申告から振込までが思ったより早い、というのが実感です。

⚠️ 申告すれば必ず還付される、ではありません

医療費控除は、すでに納めた所得税の範囲でしか戻りません。控除の額が小さければ還付もわずかですし、還付がない年もあります。

我が家も2年続けて確定申告をしていますが、振り込まれたのは2026年2月の1回だけです。「申告すれば必ずお金が戻る」と考えていると、拍子抜けすることがあります。還付の有無にかかわらず、寄付分を申告書に入れておくことのほうが大事です。

🚨 還付金の案内を装うメールに注意

国税庁は「還付金の振込先等の入力を求める旨のメール」から偽のホームページへ誘導される事例があると注意を呼びかけています。

公金受取口座を登録していれば、こちらから振込先を入力する場面はありません。申告のあとに口座情報を求めるメールが届いたら、リンクを開かずに国税庁の公式サイトで確認してください。

出典:国税庁「不審なメールや電話にご注意ください」

我が家がこの形を2年続けている理由

我が家は5人家族で、子どもが3人います。医療費は年によって大きく変わります。

誰も入院しなければ10万円には届きません。ところが歯科の治療が重なったり、通院が続いたりすると、あっさり超えます。毎年どちらに転ぶか分からないというのが実感です。

だから11月の時点では判断できません。判断できないまま12月31日が来て、ワンストップの締切も来ます。

そこで先に出しておくことにしました。年が明けて医療費通知が届き、10万円を超えていると分かったら確定申告をする。この流れを2025年2月と2026年2月の2回、続けています。

2回とも医療費が10万円を超えたので、結果的には両方とも確定申告になりました。それでも「出しておいて損だった」とは思っていません。超えなかった年にそのまま効くという安心のために出しているからです。

読者読者

最初から確定申告だけにすれば、シンプルなのでは?

fufufufu

超えると年内に分かっているならそれが正解です。我が家は微妙な額だったので、確実な方を選びました

明らかに10万円を超える年は、ワンストップを出さない

逆のパターンも書いておきます。

年内の時点で「今年は確実に超える」と分かっているなら、ワンストップは出しません。 確定申告だけにします。

たとえば大きな手術をした年、出産があった年、家族の誰かが長期入院した年です。この場合、ワンストップを出しても無効になることが決まっているので、申請書を書く手間が無駄になります。

判断の目安をまとめます。

年末時点の状況 選ぶ形
医療費がほとんどかかっていない ワンストップだけ(確定申告は不要)
超えるか微妙・判断がつかない ワンストップを出しておく → 年明けに判断
明らかに10万円を超えている ワンストップは出さず、確定申告だけ
寄付先が6自治体以上ある ワンストップは使えない。確定申告一択

なお、確定申告をする年は「5自治体まで」の制限がなくなります。 ワンストップ特例の条件である5団体以内というルールは、ワンストップを使う人向けのものだからです。医療費控除で確定申告をすると決めた年は、寄付先を増やしても問題ありません。

寄付先の数え方や申請手順は、ふるさと納税ワンストップ特例の申請手順【会社員が確定申告なしで完結】 に詳しく書いています。

【確認手順】控除されたかは6月の「住民税決定通知書」でわかる

申告して終わり、ではありません。ちゃんと控除されたかを確かめるところまでが手続きです。

確認する書類は、毎年6月ごろに配られる「住民税決定通知書」です。給与天引きの人なら、勤務先から渡されます。この中に「寄附金税額控除」という欄があり、市民税と県民税それぞれに金額が書かれています。

我が家も毎年ここを見ています。そして、最初に見たときに「あれ、金額が合わない」と混乱しました。

「寄付額−2,000円」が載っていなくても正常です

多くの人が、こう思っています。

「寄付額から2,000円を引いた金額が、そのまま通知書に載るはずだ」

ワンストップを使った場合は、そのとおりです。総務省も「ふるさと納税ワンストップ特例の申請を行った場合、所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額が、翌年度の住民税から控除されます」と説明しています。

ところが確定申告をすると、通知書の金額は「寄付額−2,000円」より少なくなります。

理由は、控除が所得税と住民税に分かれるからです。

手続き 所得税から 住民税から
ワンストップ特例 控除なし 全額(寄付額−2,000円)
確定申告 一部が還付される 残りだけ

つまり、通知書に載っている金額が少ないのは、足りない分がすでに所得税から戻ってきているからです。合計すれば同じになります。

我が家の通知書も、住民税から引かれていた額は寄付額−2,000円より少ない金額でした。足りない分は、確定申告のときに所得税から還付されていました。 これを知らなかった年は「損をしたのでは」と本気で焦りました。

具体的な数字で見る

所得税率10%の人が30,000円を寄付した場合で計算してみます。

内訳 計算式 金額
控除の対象になる額 30,000 − 2,000 28,000円
所得税から還付 28,000 × 10% × 1.021 約2,859円
住民税の基本分 28,000 × 10% 2,800円
住民税の特例分 28,000 ×(90% − 10% × 1.021) 約22,341円
住民税の合計(通知書に載る額) 2,800 + 22,341 約25,141円

通知書には約25,141円と書かれます。28,000円ではありません。差額の約2,859円は、所得税から戻っています。 合計すると28,000円になり、自己負担は2,000円で計算どおりです。

計算式の1.021は復興特別所得税です。2037年まで、所得税に2.1%が上乗せされています。

🔍 逆に、こういうときは確認が必要です

通知書の寄附金税額控除がゼロだった場合、または明らかに桁が足りない場合は、申告が反映されていない可能性があります。

よくある原因は、確定申告のときに寄付分を書き忘れたケースです。この場合、ワンストップも無効になっているので控除がまったく効いていません。ただし、あとから取り戻せます。やり方は次の章にまとめました。

寄付分を申告し忘れていても、5年さかのぼって取り戻せます

「ワンストップを出したから安心していたのに、医療費控除の確定申告をしていた」 「確定申告のとき、ふるさと納税を書くのを忘れていた」

気づいた時点で、まだ間に合います。 期限は5年です。

自分がどちらのケースかを見分ける

手続きの名前が2つあって、ここでつまずきます。違いは「確定申告をしたかどうか」だけです。

あなたの状況 手続きの名前 期限
そもそも確定申告をしていない 還付申告 その年の翌年1月1日から5年間
確定申告はしたが、寄付分を書き忘れた 更正の請求 申告書の提出期限から5年以内

国税庁も、更正の請求の例として「当初、医療費控除のみの申告 ⇒ 医療費控除及び寄附金控除(ふるさと納税)」という、まさにこのケースを挙げています。

やることは3つだけです

  1. 寄付した年の受領証明書を集める。 ふるさと納税サイトから「寄附金控除に関する証明書」をダウンロードすれば、1枚にまとまります
  2. その年の源泉徴収票を用意する。 手元になければ勤務先に再発行を頼みます
  3. 税務署へ提出する。 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、その年分を選んで作成できます。e-Taxならそのまま送信でき、印刷して郵送や持参でも受け付けてもらえます

🔍 住民税のほうはどうなるのか

ふるさと納税の控除は、所得税と住民税の両方に関係します。税務署へ出した内容は、お住まいの市区町村へも連絡が行く仕組みなので、住民税のほうも合わせて計算し直されます。

住民税だけを直したい場合や、自分のケースがどちらか判断できない場合は、お住まいの市区町村の市民税課に電話で聞くのが早いです。「何年分を、どの書類で出せばよいか」を教えてもらえます。

あきらめて放置するのがいちばんもったいないパターンです。5年分さかのぼれるということは、忘れていた年がいくつかあっても、まとめて取り戻せるということでもあります。

10月の改正前に寄付を増やす人へ

2026年10月から、ふるさと納税の返礼品の基準が厳しくなります。9月のうちに寄付を済ませておこうと考えている人も多いはずです。

このとき気をつけたいのが、駆け込みで寄付先が増えることです。

ふだんは3〜4自治体で収まっていた人が、改正前に慌てて申し込むと、あっさり6自治体を超えます。6自治体以上になると、ワンストップ特例は使えません。

ただし、この記事を読んでいる人にとっては、それほど困る話ではないかもしれません。医療費控除で確定申告をする年なら、自治体数の制限は関係ないからです。

あなたの状況 駆け込み寄付のときに気をつけること
医療費控除を使う予定がある 自治体数は気にしなくてよい。受領証明書を全部保管する
医療費控除を使う予定がない 5自治体までに抑える。超えたら確定申告が必要になる
超えるか分からない 5自治体までに抑えつつ、ワンストップも出しておくのが安全

改正で何が変わるかは、【2026年9月】ふるさと納税のお米は買い時か|6年分の履歴でkg単価を出した で、実際の寄付額の推移とあわせて書いています。

【公式】ふるさとチョイスで改正前の寄付額を確認する

まずは寄付先のページで、オンラインのワンストップ申請に対応しているか確認してみてください

よくある質問

Q. ワンストップを出したあと、自治体に「取り消します」と連絡する必要はありますか。

A. 必要ありません。 確定申告をした情報が税務署から市区町村へ届き、ワンストップの申請は自動的に無効として扱われます。こちらから連絡しなくても処理されます。

Q. 医療費控除を使うと、ふるさと納税の上限額は下がりますか。

A. 下がります。 医療費控除によって課税所得が減るため、その分だけ寄付できる上限も少なくなります。

どのくらい下がるのか、目安を出しておきます。医療費控除の額が10万円増えると、ふるさと納税の上限はおよそ2,500〜3,000円下がります(所得税率10〜20%の場合の概算)。医療費が30万円かかって控除額が20万円になったなら、上限は5,000〜6,000円ほど低くなる計算です。

そこで、医療費控除を使うかもしれない年は、上限額の目安より1割ほど低めに抑えておくと安全です。上限を超えた分は自己負担になりますが、1割の余裕があれば、あとから医療費控除を使うことになっても超える心配がほとんどありません。逆に医療費が届かなかった場合、使い残すのは上限の1割ぶんだけです。

上限額の調べ方は ふるさと納税の上限額、早見表に自分の家族構成がない人の調べ方【子ども3人の実例】 にまとめています。

Q. 医療費が10万円を超えなくても、医療費控除を使えることはありますか。

A. あります。 その年の総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく「総所得金額等の5パーセント」が基準になります。たとえば総所得金額等が150万円なら、7万5千円を超えた分が対象です。パート収入だけの年などは確認してください。

Q. 確定申告のとき、受領証明書は全部必要ですか。

A. その年に寄付したすべての自治体分が必要です。 ただし、ふるさと納税サイトが発行する「寄附金控除に関する証明書」を使えば、1枚にまとめられます。ふるさとチョイスなどの各サイトからダウンロードできるので、自治体ごとの証明書を並べるより手間が少なく済みます。

まとめ

医療費控除とワンストップ特例は、どちらかを最初に選ぶものではありません。 年内はワンストップで保険をかけ、年明けに医療費が確定してから決める。この順番にすると、迷っている時間がなくなります。

要点を3つにまとめます。

  1. 医療費が10万円を超えるかは年内に分からない。 保険金で戻る分を引く必要があり、総額の確定は2月ごろになる
  2. ワンストップの締切のほうが先に来る。 医療費が分かる1か月以上前に締切が来るので、迷ったら出しておく
  3. 確定申告をするなら、寄付分も必ず申告書に入れる。 医療費控除だけ申告すると、ふるさと納税の控除が丸ごと消える

そして、手続きが終わったら6月の住民税決定通知書を必ず開いてください。 確定申告をした年は、通知書の金額が「寄付額−2,000円」より少なくなります。それは正常です。足りない分は所得税から戻っています。

我が家がこれを知ったのは、通知書を見て「金額が合わない」と焦って調べたときでした。手続きをしたら、効いたかどうかまで確かめる。 ここまでやって、ようやく1年が終わります。

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申込画面でワンストップ申請書の要望にチェックを入れて、年明けの自分に選択肢を残しておきましょう

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